ソーシャルワークの基盤となる考え方について勉強してみた
ソーシャルワークは、個人や社会が「より良い状況」になることを目指すもので、個人と社会の双方に働きかけることが必要だ。この「良い状況」へ向かうこと、その状況を作り出す上で大切な、ソーシャルワークの基盤となる考え方とは、つまりソーシャルワークの原理を常に意識することに他ならない。
そしてそのソーシャルワークの原理とは、「社会正義の実現」、「人権の尊重」、「集団的責任を果たすこと」、「多様性尊重」がある。
具体的には、「社会正義の実現」とは、社会に不公平がなく、一人一人が理にかなった扱われ方をしている状態だ。援助してほしいといえる人も、言えないでいる人も、特定の人だけでもなく、社会を構成する全ての人が同じように扱われる必要がある。
「人権の尊重」とは、いうまでもなく「人が人として生まれながらにもっている権利」を尊重すること。誰もが当然に有し、原則公権力から奪われたり制限されることもなく、人種や性別、身分や能力に関係なく全ての人が当然に享受できるものだ。ただし、自分の権利を守るとともに、他者の権利を犯してはならないという意識も忘れてはならない。
「集団的責任を果たす」こととは、つまり「共同体の責務を果たす」ことといえる。これは2つの側面があり、1つは日常的に個人の権利が守られるために、人々が自然を含む社会資源などの環境に対して責任を持つこと、2つ目は共同体の中で人々がお互いに関係を形成し、助け合って生きる責任があるということ。つまり他者との関係性における責任と、人を取り巻く全ての環境に対する責任を相互に負うことで、誰にとっても住みやすい社会をみんなで協力して作ろうという考え方だ。大事なのは他者を自分とつながりのある者、共通性のあるものとしてとらえて、その痛みを我がこととして感じることができるか?ということになる。これが他者に対する受け止め方や行動に影響するからだ。
「多様性の尊重」とは、国籍、人種、性別、階級などの生来のもの、言語や職業、居住地域や宗教など後天的な環境要因によるもの。さらには能力、嗜好、信条、性的指向などの個人のライフスタイルといった分類などいろいろあるが、人は一人として全く同じ人はいないことを忘れてはならない。一人一人が分類しきれない多様な性質をもつ存在であること。その一人一人をそのまま受け入れて認め合うことが大切になる。
また、ソーシャルワーカーが自分の立場を優先した行動をとること、クライアントの個人情報を私的に利用することなど、倫理に反する行動は絶対に避けなければならない。貧富の差も、言語も、居住地域も関係ない。援助を求める人も、求めることもできない人も、日本語を話す人も、それ以外の言語を話す人も、すべて平等に援助しなければならない。
ソーシャルワークのポイント
原理や倫理のない(欠けている)ソーシャルワークは人の尊厳や人格をとてつもなく傷つける恐れがある
ソーシャルワークから社会正義の実現・人権の尊重・集団的責任を果たすこと・多様性の尊重を実践していくこと
ソーシャルワーカーとしての価値観を養うため、児童・高齢・障害などさまざまな分野の問題についての自分の考えを確かにしておく
ジェンダー・介護ロボットやICT化・グルーミング・性加害・薬物・ゲーム依存・居場所支援・ヤングケアラーなど 個人の生い立ちや家庭環境を知り、生活に踏み込むという仕事をしているソーシャルワーカーは倫理観について敏感であり、時折自分の倫理観を点検するぐらいの気持ちが必要だ。
自分の発言やソーシャルワークがどのように影響を及ぼすかという想像力を働かせる必要がある。
個人レベルで倫理に対する意識を高めておくこととはもちろん、個人が見えていない部分を補うことを考えて、ケース検討やチーム体制に工夫を加えて、チームとして相談援助の倫理観や点検をできる透明性を確保しておく必要がある。
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