社会福祉の対象とニーズについて勉強してみた
まずは「ニーズ(必要)」について確認します。自分にとって「何が欲しい」か?は、本人しか判断できませんが、自分にとって「何が要る」か?といった点に関しては、本人も、他人も判断できます。
つまり、ニーズ(必ず要る=必要)という概念の特徴は、ある人にとって何かが必要であると判断する主体が、常に本人であるとは限らないということになります。
社会福祉において「ニーズ」を把握することが重要であることは言うまでもありません。これは支援される本人と、支援する者が共に問題解決への道を探る上でとても大切な心構えだといえます。
次に社会福祉の対象について、一般的には、障がい者・高齢者・児童・貧困者といった属性的・属人的な分類になりますが、古川孝順氏による「生活支援ニーズ論」を参考にすることでより理解が深まります。
古川氏によれば、まずは「一般ニーズ」(生理的・人格的・社会的ニーズ)と「生活ニーズ」(一般ニーズのうち直ちに生命維持にかかわり、社会関係や社会制度とのかかわりで満たされるもの)を区別します。
そしてこの「生活ニーズ」が満たされない状態を「生活支援ニーズ」と呼び、自助努力でも家族や市場などの経路によっても満たせず、公的支援の提供が社会的合意を得られる場合に、「社会的生活支援ニーズ」として転化するとしました。
そしてさらにこの「社会的生活支援ニーズ」を「所得保障ニーズ」「保健医療ニーズ」「福祉ニーズ」に分類しました。
ただしこれらのニーズの全てが社会福祉の対象になるわけではなく、あくまで社会福祉制度の基準に合致して認定される(対象化)ことではじめて社会福祉の制度によって扱われると強調しました。
古川氏の「生活支援ニーズ論」は、普遍的で基本的な必要(一般ニーズと生活ニーズ)から、社会的必要(生活支援ニーズ)へ、さらには制度的必要(社会生活支援ニーズ)へと至る重層的なニーズ構築の全体像を捉えており、誰がニーズを捉えたり、決めたりするのか?といったニーズをめぐる認識主体の問題に焦点を当て、社会福祉における「社会行動システム(社会運動を通じた異議申し立ての経路)の重要性を指摘してます。
これは、昨今においても、対象の変化(ニーズの現代化)にどのように応答するか?といった課題解決への道標といえるものです。昨今ではニートやフリーターに象徴される若者や、非正規雇用で暮らすワーキングプア、老老介護者や介護難民、育児と介護を同時に担うダブルケア、学業を犠牲にして家族の介護・介助を担うヤングケアラーなどの、これまになかった諸問題が注目されています。
昨今対象となった人はもちろん、社会の変化に伴い、新しく対象となる人や、支援を必要とするであろう未来の対象者にも関心を持ち、常に将来の支援に備えて社会の包摂力を高める人材が求められている。
ポイント
社会福祉は基本的には弱者救済ですが救済している側の人もいつ救済を必要とする側になるかもしれない。
国民、社会の構成員全員の生活維持という必要性、目的が社会福祉にはある。
ボランティアのように無報酬の場合もあるが原則、財源より給付され報酬がある施策となる。
近年特に問題視されているフードロスのように、社会福祉においても需要と供給のバランスが崩れ、十分に過不足なく福祉サービスを提供できているとは言い難い状況が現在も続いている
措置から契約へといった改革や、細分化された福祉サービスによって、シームレスな福祉サービス提供、施策が実現しているのが現状だ。
福祉サービスから漏れるケース、適切かつ適正なアセスメント、ニーズの把握、対象の発見と絞り込みを行うことが福祉職において求められる。
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