地域福祉計画について勉強してみた


 

2000年に制定した現在の社会福祉法では、第4条で地域福祉の推進、第6条で国及び地方自治体の責務としての福祉計画を規定している。

この「地域福祉計画」が社会福祉の運営・経営において最も重要なものになるだろう。そして「地域福祉の推進」として2003年 第107条で「市町村地域福祉計画」と、第108条で「都道府県地域福祉支援計画」が新たに規定された。

「市町村地域福祉計画」では、地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項、地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項、地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項を盛り込んだ。

「都道府県地域福祉支援計画」では、市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項、社会福祉を目的とする事業に従事するものの確保または資質の向上に関する事項、福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項を盛り込んだ。

これより以降、全国の自治体で地域福祉計画と地域福祉支援計画が策定されることになる。その後、2007年には災害時等の要援護者支援策、2015年には生活困窮者支援を通じた地域づくりなどを市町村地域福祉計画の中に盛り込むようになる。

そして2017年の社会福祉法改正では、地域づくりを実現させるための3つの内容を盛り込んだ。1)「住民に身近な圏域」において、地域住民等が主体的に地域生活課題を把握し、解決を試みることができる環境の整備。 2)「住民に身近な圏域」において、地域生活課題に関する相談を包括的に受け止める体制の整備。 3)多機関の協働による包括的な相談支援体制の構築等を通じた包括的な支援体制の整備だ。

また、それまで任意とされてきた計画策定を「努力義務」とし、「地域における高齢者、障がい者、児童福祉その他福祉に関し共通して取り組むべき事項」を追加。また「包括的な支援体制の整備に関する事項」を計画で定めるとし、策定した計画は「定期的に、調査、分析及び評価を行うように努め、必要に応じて見直しを行い、PDCAサイクルのなかで計画の進行管理や評価が明記された。

その後2019年、成年後見制度の利用促進、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給や市町村地域防災計画などとも一体的に策定・展開と一部共通化が想定されることになる。

ここまで、市区町村、都道府県における地域福祉計画の変遷を見てきたが、民間団体で構成される社会福祉協議会の存在も忘れてはならない。これまで地域住民の福祉活動への参加を促したり、ボランティア活動を推進したり、福祉教育、まちづくりに取り組むなど地域福祉の推進を担ってきた実績がある。

当然これからの「地域福祉計画」においても、官民のそれぞれの役割を分担し、相互に連携、協働するべき欠かすことができないパートナーだろう。



ポイント

地域福祉計画の主旨

老人福祉計画や障害福祉計画のほか、地域福祉過活動計画もあり、混同しない。


我が国の社会福祉において「措置から契約へ」という表現がある

以前は措置、すなわち行政処分。


福祉サービスは行政処分によって受給。


措置では、受給する側の、利用者側の細かいニーズに対応していない、対応できないシステムともあった。


利用者にとって必要以上のサービスを提供することによる弊害も大きく、ことに不必要な支援に対する給付(費)は財源に対して無駄な支出となることからニーズに応じた適切な福祉サービスの提供・支給が求められることとなる。


一方でニーズに適応した福祉サービスの内容は細分化し、急な対応は困難な中、福祉サービスの拡充は先を見越し、計画的に実施すべきだろう。


地域福祉計画は地域福祉推進の主体である地域住民等の参加を得て、地域生活課題(ニーズ)を明らかにするとともに、その解決のために必要となる施策の内容や量、体制等について、省内関係部局はもとより、多様な関係機関や専門職も含めて協議の上、目標を設定し、計画的に整備していくことを内容とする。


2000年6月の社会福祉事業法等の改正により社会福祉法に新たに規定された事項であり、市町村地域福祉計画および都道府県地域福祉支援計画からなる。


地域福祉推進の具体策として社会福祉法第107条において市町村地域福祉計画の任意策定(努力義務)が規定された。


市町村地域福祉計画には①地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項②地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項③地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項、の以上の3項目を盛り込むべきとしています。努力義務ですが、盛り込まなければ社会福祉法に基づく地域福祉計画とは認められません。


また、市町村が計画を策定または変更する場合はあらかじめ、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者などの意見を反映する努力義務があります。


もともと市町村地域福祉計画は地方自治法に基づく基本構想に即して作成されるものだったが、2011(平成23)年地方自治法の改正で基本構想を定める規定がなくなっています。
都道府県地域福祉支援計画は社会福祉法第108条において任意策定(努力義務)が規定されています。


 都道府県地域福祉支援計画には①市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項②社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項③福祉サービスの適切な利用の促進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項の3項目を盛り込むべきとしています。


 平成19年8月10日には災害時等における要援護者支援対策を市町村地域福祉計画に盛り込むよう改正が加えられました。


 2018年度末の時点で策定済み市町村は3割、予定6割と進捗状況が良くなく、都道府県レベルでは7都道府県で策定未定であった。


 今後の課題として地域の要支援者、とりわけ少数者の問題の把握と支援について明確に位置づけ取り組みを進める必要があるとされ、改正の検討が続けられている。
 



コメント

このブログの人気の投稿

ふるさと納税から、はじめてみよう! ふるさと納税 はじめてガイド

ふるさとチョイスで、はじめてのふるさと納税 メリット・デメリット・手順 まとめ

リハビリテーション医学・医療について勉強してみた